抄読会レポート
抄読論文
Continuous vs Intermittent β-Lactam Antibiotic Infusions in Critically Ill Patients With Sepsis: The BLING III Randomized Clinical Trial
(JAMA. 2024;332:629-637)
担当
後期研修医 渡邉知佳
論文概要
敗血症でICU管理を要する成人患者において、βラクタム系抗菌薬の「持続投与(continuous infusion)」と「間欠投与(intermittent infusion)」の臨床転帰を比較した国際多施設ランダム化比較試験(BLING III試験)です。
7カ国104施設のICUにおいて7,202例が登録され、ピペラシリン・タゾバクタムまたはメロペネムを用いて、持続投与群と間欠投与群に1:1で無作為に割り付けられました。
・主要評価項目:90日全死亡率
・副次評価項目:臨床的治癒率、耐性菌出現、ICU・院内死亡率、薬剤耐性菌の出現など
主な結果
- 90日死亡率は持続投与:24.9%、間欠投与:26.8%で 有意差なし(OR 0.91, P=0.08)
- 調整後解析では有意差あり(OR 0.89, P=0.04)
- 臨床的治癒率(14日以内)は持続投与:55.7%、間欠投与:50.0%。 持続投与で有意に高い
Discussion
(筆者の考察)
βラクタム系抗菌薬の持続投与はPK/PDの観点から理論的優位性があるものの、本研究では90日死亡率の有意な改善は示されませんでした。一方で、絶対リスク差は約2%であり、number to treatは約50と推定されることから、臨床的意義を完全に否定する結果ではないと考察されています。また、臨床的治癒率の改善に加え、他のアウトカムにおいても持続投与を支持する一貫した方向性が示されています。
本研究の限界として、非盲検デザインであること、無作為化前の抗菌薬投与の影響、ICU退室後の治療の差異などにより群間差が希釈された可能性が挙げられています。
後期研修医
コメント
本研究単独では90日死亡率の有意差は示されなかったものの、本研究を含む複数のRCTを統合したメタアナリシスでは死亡率改善が報告されています。これらのエビデンスを踏まえ、Surviving Sepsis Campaign 2026ではβラクタム系抗菌薬のprolonged infusionはstrong recommendationとして位置付けられています。
実臨床では投与方法のみならず、早期抗菌薬投与・感染源コントロール・全身管理の質も予後に大きく影響します。また持続投与はライン管理・薬剤安定性・ポンプ運用などの実務的課題も伴うため、施設のリソースを踏まえた運用が必要となります。したがって重症例や耐性菌リスクの高い症例では積極的に検討する一方で、全例への画一的導入ではなく、患者背景に応じた個別化治療戦略の一要素として位置付けることが妥当ではないかと思いました。
関連キーワード
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#持続投与
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