抄読会レポート
抄読論文
ECG Patterns of Occlusion Myocardial Infarction: A Narrative Review. (Ann Emerg Med. 2025;85:330-340. doi: 10.1016/j.annemergmed.2024.11.019.)
担当
専攻医 小鹿萌
論文概要
STEMI/NSTEMI基準が心血管イベントの診断基準として広く使われていることに疑義を呈し、新しくOcclusion Myocardial Infarction基準を提唱した論文。
STEMI/NSTEMI基準はもともと心筋梗塞かどうかを判断する基準であり、閉塞の有無を判断する為の基準ではなく、迅速な再灌流を必要とする閉塞性心筋梗塞に対する診断基準としては感度・特異度は十分ではない。
既存の診断基準で取りこぼしやすい疾患群に特有の心電図パターンを紹介する。
主な結果
- Wellens症候群 左前方枝梗塞後の再灌流、双極・陰性T波@V2-3誘導及びQ波の喪失
- Hyperacute T wave 心筋梗塞発症数時間以内、先行するQRS波と比較し巨大なT波
- De Winter Pattern 左前下行枝近位部閉塞、V1-6で右肩上がりのST低下、巨大T波
- Aslanger Pattern 急性期下壁梗塞(特にLCX)、Ⅲ誘導ST上昇その他誘導ST低下
- South African Flag Sign Dg・HL梗塞、ⅠaVL・V2誘導ST上昇、Ⅲ誘導相反性ST低下
- Terminal QRS Distorsion 左前下行枝閉塞、V2-3誘導でのS波J波の消失
- New-Onset Bifascicular Block 左前下行枝近位部梗塞、新規の右脚ブロックではPCI推奨
- Posterior OMI LCX梗塞、V1-3誘導単独ST低下、V7-9誘導ST上昇
- Smith-Modified Sgarbossa Criteria 急性心筋梗塞、①V1-3誘導ST低下(≧1mm)②1つ以上の誘導で陰性QRSに対して相反性ST上昇③1mm以上のST上昇かつST/S比≧25%
- Precordial Swirl 左前下行枝近位部梗塞、V1-2著名なST上昇、V5-6誘導でST低下
- Northern OMI 多枝病変の心内膜下虚血~貫壁性虚血による再分極障害、aVL誘導・aVR誘導でのST上昇及び陰性T波、後壁から側胸部誘導でのST低下及び陽性or双極性T波
Discussion
(筆者の考察)
・既存のSTEMI/NSTEMI基準では迅速な再灌流の必要な閉塞性心筋梗塞を見逃している。
・上記の心電図パターンを組み込んだ新たな心電図診断のフローチャートの使用によりことでこれまで見逃されてきた心筋梗塞を拾い上げることができる。
・データ集積が十分と言えず、裏付け研究は十分ではない。AIなども活用しつつ今後もデータの集積を行うことで、診断精度を上げていくことが期待される。
後期研修医
コメント
心電図は心筋梗塞という患者様の予後に大きな影響を出す疾患を少ない負担で拾い上げられる検査です。今回の論文を通じて、重要な心電図を再確認することができました。今後の診療につなげていきたいと思います。
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